2015アートセミナー報告

大阪大学文学研究科准教授、神戸女学院大学文学部非常勤講師 岡田裕成先をお招きし、
「古都の美術、探訪」と題して、ご講演いただきました。
第1回は、運河の街ブリュージュ(ベルギー) 〜「中世の秋」の美術を訪ねる〜 
と題し、運河の街として栄えた交易都市ブリュージュの、中世来の美しい街並みと、初期ネーデルランド絵画の担い手であるロベルト・カンピン・ヤン・ファン・エイク、、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの絵画を、楽しいエピソードと共にご紹介いただきました。

また、第2回では、アンデスの天空都市クスコ 〜標高3000メートルのキリスト教美術を訪ねる〜
と題し、「ポマタの聖母」「大天使アシェル」「聖母戴冠」などの絵画や、祝祭の様子などをお教えいただきました。絵画は、16世紀から、クスコや周辺の聖堂を飾る絵画を制作するかたちが現れ、スペイン系、先住民の画家たちが活動したが、17世紀末、先住民画家のみのギルドがつくられ、先住民画家の中には、インカ系を中心とする首長層エリートが、多くいた。そして、インカの権威を受け継ぎつつ、キリスト教を生かしなおして用い、きらびやかな祝祭の文化を持つ複合の文化という点では、日本もそれに近いかもしれないなどと、さまざまなお話を交え、ご講演いただきました。

岡田先生の著書をご紹介させていただきます。
   「ラテンアメリカ越境する美術」 筑摩書房   定価(本体価格 2700円+税)