2013アートセミナー報告

死と祈りの美術
 
 全3回のアートセミナーでは、ヨーロッパ、キリスト教美術の重要なテーマであった死への恐れと救済の祈りについてご講演いただきました
 
 建具と一体になった「イーゼンハイムの祭壇画」にはイエス・キリストのまさに今、死を迎えようとする、痛々しくも苦しまれる姿が描かれています。それを見る人が自分の罪を悔いあらためて、祈るようになりました。
 それから10年後、ポントルモの「十字架降下」は十字架のキリストの姿があたかも眠っているかの様な気高い表情で美しい肉体のまま描かれていたので、宗教美術にとどまらず、美的芸術としての価値を見出されるようになりました。
 カリダー施療院聖堂の理念は慈愛、死からの救済、それを支えたのがカリダー兄弟会でした。死の無残さを説き、死への恐怖が人々を慈愛の実践へと駆り立てました。