「ジャポニスムの光彩―印象派、アールヌーヴォーと日本の美―」
ジャポニスムとは、1851年のロンドン万国博覧会への出品などをきっかけに、日本美術が紹介され、1860年から1920年ごろに、西欧での写実主義から印象主義への変革の影響を及ぼしたと考えられている。
それ以前にも、南蛮漆器や伊万里に代表される工芸品が海を渡り、初期のものには
日本独自の意匠というより、ヨーロッパのデザインが作品に取り入れられていたところにも注目すべきものがある。
印象派の時代のジャポニスムから、さらに 大衆のための浮世絵と、ジュール・シュレ、ロートレックのポスターに共通するものを見出すなど、ジャポニスムが、単に西欧に影響を及ぼしただけでなく、それぞれの流れの中で確認させてくれたものであった、という見方もでき、終わらないジャポニスムを、愉しむことができるのではないかと、述べられた。
浮世絵、琳派などの色彩と構成、遠近法と細部の描写、構図のとらえ方、また、自然と人間とのかかわり方の西洋と日本の対比を軸に、双方の作品の共通点など新たな視点で見ることができた。工芸、絵画にとどまらす、枯山水や日本建築の大胆な省略と機能美など、日本の美意識を再認識することができた。
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