2014アートセミナー報告
   

 
 元神戸女学院中高部教諭で、園田学園女子大学名誉教授の吉村 稠氏を講師にお迎えし、「老いと成熟と―映画人C.イーストウッドと作品の世界を軸にして」と題して2回にわたりお話をうかがいました。両日とも70名を超す多くの方にお越しいただき、思い出の映画や、俳優の名前に頷きながら、楽しく、熱心に聴講いただきました。

第1回 2014年9月3日(水)

    人生、あなたはどちらの歩き方?:
      二つの映画「マネーボール」と「人生の特等席」を参考にして

  「老い」という言葉を考えるとき「生きる」ということがついてきます。最初に「老い」という言葉、そして「老い」「青春」「成熟」についていろいろな方々の発言を紹介してくださいました。次に対照的な内容の映画、「マネーボール」と「人生の特等席」を解説してくださり、人生の見方、表現はいろいろあることを話されました。私たちは一つの予測で人生を過ごしているのではなく、試行錯誤を積み重ねることが人生のキャリアであるとも教えていただきました。


第2回 2014年9月10日(水)

    重ねた年齢と経験の質を問う:
      映画人C.イーストウッドの歩んだ道と「インビクタス/負けざる者」を参考にして

   映画人クリントイーストウッドの「老い」の過程と人生へのまなざしを、奔放な若さ、映画人としての「老い」、「老い(65歳)」の容貌と成熟との三段階に分けて代表作を挙げながら、解説されました。その後に、「老いのキャリア」の豊かさ(クオリティ)というものが担うものは何かを「ミリオンダラー・ベイビー」「インビクタス/負けざる者たち」の映画で表していることを教えていただきました。年を取ったからと言ってかってに成熟するのではなく、自分自身で、これからの時の刻みをクオリティ、質、充実というものを少しは心がけながら、過ごしていく。そうすると、おのずとそれは自信になり、やがてそれは次の世代に光っているものを伝えられるような生き方になると話されていました。最後に、「この教室を出た瞬間からベターを目指して下さい」と締めくくって下さいました。