2015キリスト教セミナー 報告
「旧約詩編ーー賛歌を読む」(全3回)
講師 神戸女学院チャプレン・大学文学部総合文化学科教授 飯 謙 氏
3回にわたり旧約詩編をどう読み解くかについてご講義いただきました。エルサレム神殿の賛歌集としてとらえられてきた詩編は、死海写本の研究によって読み物として編纂されたものではないかとの考えが提議されました。個々の作品が集合体として形成され、神殿崩壊後民衆の祈りと思索の書として定着したとみなされるのです。敵対者による弾圧により、地上に希望を見いだせないと唄う3編から7編に対し、8編では弱者の語彙が登場し、神を信じることはそばにいる困難にある人々と共に生きることと同義であることがわかります。また33編では神殿を前提としない信仰が提議され、神殿でないところでもすべてのものが祝福されるとの認識が得られました。
このように詩編を読み解くことで、詩編に親しみ皆の信仰が深まるように祈祷でしめくくられました。
◆第1回 2016年2月3日(水)10:30〜12:00
讃美歌21 461番
聖書 使徒言行録 13章33節
祈祷 主の祈り
詩編をどう読むか?― 類型研究から踏み出して
0.はじめに
1.詩編の概観
2.定説の形成
3.死海文書の発見と新たな認識
4.まとめ
◆第2回 2016年2月17日(水)10:30〜12:00
讃美歌21 497番
聖書 詩編 8章1 - 10節
祈祷 主の祈り
詩編8編とその文脈ー苦悩の現実から踏み出して
0. はじめにー前回のまとめ
1. 賛歌の主要な形態
2. 詩編8編
3. 詩編8編の文脈
4. まとめ
◆第3回 2016年3月2日(水)10:30〜12:00
讃美歌21 403番
聖書 詩編 33章 1-22節
祈祷 主の祈り
詩編33編とその文脈ー神殿の信仰から踏み出して
0.はじめに
1.死海写本から想定する詩編33編の編集史
2.詩編33章1-12節の検討
3.詩編33章13節以下の加筆
4.まとめ