2016年度外国語教室特別講演会報告
  

 
   「GENDER(IN)EQUALITY IN JAPAN AND POLAND
        on the Example of Political Representation」 

          

             講師  Monika  KSIENEWICZ
                   神戸女学院大学文学部英文学科客員講師
                     (神戸女学院めぐみ教育基金招聘教員)
 「神戸女学院めぐみ教育基金」招聘教員 Monika KSIENIEWICZ先生の特別講演会が、1月24日、めぐみ会館集会室にて行われました。英語での講演にもかかわらず、一般、卒業生、学生を含めて58人もの方がご参加くださいました。
 まず先生は、天照大神の絵を示しながら、昔は日本でも国のトップは女性であったと前置きされた上で、女性の政治参加に焦点を置き、母国ポーランドと日本における「GENDER EQUALITY」(男女共同参画)についてお話しくださいました。
 地理的にはほぼ同じ国土の広さである両国ではありますが、歴史的には異なった背景を持ちます。1979年に国連総会で採択されたCEDAW(女性差別撤廃条約)に、日本とポーランドは共に1980年に署名をしています。ポーランドは同年にこの条約を批准したのに対し、日本は批准までに5年もの歳月を要しました。
 日本は、世界経済フォーラムによる「世界経済男女格差指数」は145ヵ国中101位、また「性別による賃金格差の平均中央値」はOECD諸国のなかで2番目に悪く、「女性の政治活動への参加率」も世界平均を下回る、わずか15%にすぎません。一方、これまでに3人の女性首相を輩出しているポーランドでは、議員のうち女性がほぼ30%を占め、労働市場においても女性の70%が活躍しているとのことでした。
 日本では、東大出身の女性は結婚相手として敬遠されがちなこと、アジアで最も女性の政治家の割合が高いのはフィリピンであることなど、興味深いお話を交えながら、小池百合子が女性として初めて東京都知事になったことや、蓮舫民進党代表の誕生、芸術家草間彌生のグローバルな活躍などについて述べられ、今が日本において女性の進出を推進するチャンスではないかと我々日本人女性にエールを送ってくださいました。一方、日本では十分な育児支援が不足していることなど、女性が社会に進出していく上での課題についても言及されました。講演会後半は、参加者からの質問に答えられ、活発な質疑応答の時間となりました。
 講演会後にもたれた茶話会では、ポーランドから来ておられた先生のお友達も参加され、リラックスした雰囲気のなかで、先生を囲んで和気あいあいと会話を楽しみました。帰り際、「選挙に行ってください。そして女性に投票しましょう!」と情熱的に言われた先生の言葉が心に響きました。一般の受講者、各世代の卒業生、若い学生さんたち多くの方とともに、豊かな学びの時となりました。