2021アートセミナー 岡田氏 報告

2021アートセミナー「ルネサンス美術の二都を歩く」は
今回はコロナ禍ということで、動画配信のみでの開催となりました。

第一回「ヴェネツィアの教会に静謐の画家G.ベッリーニの名品をたずねる」
 先生の実際にヴェネツィアで撮影されたお写真も交えた旅のお話から
はじまり、ジョヴァンニ・ベッリーニの一族、そして、ジョルジョーネへと
引き継がれるルネサンス美術、ヴェネツィア派の流れを解説いただきました。
 ジョヴァンニ・ベッリーニ作、「ペーザロの祭壇画」は、豪華な装飾のフレームに
囲まれた絵画で、その絵の中には、さらに同じようなフレームが描かれ、
フレームの中には、奥行きのある森や丘の風景。その前には、聖母に冠を与える
キリストとその弟子たち。まさに空間のトリック。
 ご講義の終盤には、ジョルジョーネ作、「嵐」が写し出されます。
先生が2時間、この絵の前で佇み、思いを巡らされたという作品です。
森の中で授乳する女性、騎士、森の奥の空には真っ黒な雲と雷鳴。
エメラルドグリーンの不思議な世界が広がります。
答がないのが答。自由に想像を広げて。
先生の絵画を鑑賞する喜びがこちらにも伝わってくるご講義でした。

第二回「フィレンツェ メディチ・リカルディ宮殿の壁画装飾」
 メディチ家の礼拝堂の壁画を中心にしたご講義でした。
 莫大な資産を築いたコジモ・デ・メディチは人生最後に自身の救済を求めて
壮大な一枚の壁画を発注。
 マギとよばれる3人の賢者がキリストの生誕を祝うためにベツレヘムへと
旅する物語です。行列の中にメディチ自身や、作者ベネッツォ・ゴッツォリの姿も。
礼拝堂の中で、聖地巡礼と毎日の祈りを完結できる仕掛けとなっています。

ステイホームの中、皆さまにイタリアの風を感じていただけたことと思います。

アンケートでは、動画配信という新しい試みに、ご好評のメッセージを多数いただいております。画像も音声もクリアだったとのこと。
平日お仕事の方、ご遠方の方(東京、長野、シンガポールなど)にもご参加いただくことができました。