アートセミナー
記事一覧
2023アートセミナー報告
◆名作への旅(全2回)
講師:大阪大学文学研究科教授・神戸女学院大学文学部非常勤講師 岡田裕成先生
第2回 6月19日(月)
ヘントの祭壇画:ベルギーの小都市に訪ねるファン・エイク兄弟の珠玉の作品
初期ネーデルラント絵画を代表する画家ファン・エイク兄弟が15世紀初頭に制作し、現在もヘントのシント・バーフ大聖堂に安置されている多翼祭壇画<ヘントの祭壇画>について、その歴史的背景や新しい画法(油彩)等についてご講義いただきました。作品の銘文に刻まれた聖書の言葉から神学的メッセージを読み取り、聖堂に集う会衆の信仰を促すために描かれた作者の意図に思いを馳せました。
2023アートセミナー報告
◆名作への旅(全2回)
講師:大阪大学文学研究科教授・神戸女学院大学文学部非常勤講師 岡田裕成先生
第1回 6月5日(月)
サン・ピエトロのピエタ:ローマに若き日のミケランジェロの名作を訪ねる
ルネサンスを代表するミケランジェロが若き日に制作し、現在サン・ピエトロ大聖堂内に安置されている<ピエタ>について詳しくご講義いただきました。
キリストの死を悼む図像<ピエタ>の制作に纏わる作者の意図を興味深く拝察させて頂きました。
岡田先生アートセミナー 開催時刻についての記載の訂正とお詫び
6月5日と19日開催のアートセミナーにつき、ホームページに記載の時刻に誤りがございました。下記の通り、広報誌『めぐみ』112号p.39と案内チラシに記載の内容が正しいものです。 (誤)13:30~15:00→(正)10:30~12:00 謹んでお詫びし、訂正いたします。2023年度アートセミナーご案内 (名作への旅 岡田裕成氏)
お問い合わせ・お申込みはめぐみ会事務局まで
2023年度アートセミナーご案内 (古典俱楽部 錦田靖子氏)
古典倶楽部 ~テーマに沿って高校の教科書を読み直す~(全6回) 源氏物語の名場面各回 13:30~15:00 元神戸女学院中高部非常勤講師 錦田 靖子氏
もう一度古典文学に親しんでみませんか? お気軽にお申込みください。 |
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第5回 10月6日(金)巻十二『須磨』・巻十三『明石』 第6回 12月1日(金)巻三十四『若菜上』 第1回~第4回は2022年度開催済み |
神戸女学院 めぐみ会館 受講料 各回 1,000円 学生 無料 |
お問い合わせ・お申し込みはめぐみ会事務所まで
2022 アートセミナー報告(錦田氏)
第4回は現代の教科書でも必ず取り上げられる 巻五「若紫」でした。
おこり病のまじないに北山の高僧を訪れた18歳の源氏の君は、山桜が咲きほこり霞かかる 山深い草庵で、10歳くらいの美少女「若紫」の姿を垣間見ます。この少女は、源氏が恋い慕う 藤壺の女御に似ているのですが、それもその筈、藤壺と少女は、叔母と姪の間柄でした。
運命に導かれた二人の出会いのこの場面は、『源氏物語』という壮大な物語の入り口とも いえるとのこと。最後に皆で朗読し『源氏物語』の世界を楽しみました。
(今回のアートセミナーも錦田先生のご丁寧なご講義で、『源氏物語』を原文で堪能することができました。)
2022アートセミナー報告
古典倶楽部~テーマに沿って高校の教科書を読み直す~
「源氏物語の名場面」(全6回)
講師 元神戸女学院中高部非常勤講師 89錦田 靖子氏
第3回 11月4日 巻四「夕顔」
巻四「夕顔」では、17歳となった光源氏が、ようやく御所の外の世界を知り、初めて庶民の暮らしにふれる様子が細かく描かれています。
光源氏は乳母を五条に見舞った際、隣家の簾越しに垣間見た愛くるしい女性に、自分の素性を明かさずに歌を贈ります。この女性、夕顔は中流階級らしいおおらかでおっとりとした性格で、宮中の高貴な女性にはない素直な可愛いらしさがありました。すぐに恋に落ちた源氏は、夕顔を寂れた某院に連れ出しますが、その夜、枕元に現れた怪しげな女(もののけ)によって、夕顔は死に追いやられてしまいます。
このあと、源氏は幾多の女性と浮名を流すこととなりますが、切なく悲しい結末となった若き日の夕顔との恋は、一瞬ゆえに、光源氏にとって、永遠の思い出となります。
「夕顔」の巻には、「白き花」「白き衿」など白色の表現が散りばめられており、それがいっそう清楚ではかない夕顔のイメージを作り上げています。
(今回のアートセミナーも錦田先生のご丁寧なご講義で、『源氏物語』を原文で堪能することができました。)
2022アートセミナー報告
「イタリア・フレスコ画の名品を読み解く」(全2回)
大阪大学文学研究科教授、神戸女学院大学文学部非常勤講師 岡田裕成先生
第一回は、14世紀初頭、イタリアのパドヴァに建設された礼拝堂の内部に、ジョットが描いたフレスコ画が題材でした。父親の代から銀行業を営む富豪、エンリコ・スクロヴェーニが出資者です。当時のカトリック教会では高利貸しは大罪とされていた中、自身と一族の贖罪を願ってこの礼拝堂を建設したそうです。
聖書の数々の物語で構成される壁画の中から、特に「ラザロの復活」の場面を詳しく解説いただきました。立体感や臨場感豊かなジョットの絵画は、ルネサンス美術の先駆けともいえるそうです。
新しい造形表現を探求する芸術家と、イタリアの都市部に登場しはじめた富裕な市民との出会いによって作り上げられたのが、この礼拝堂とのことでした。
3年ぶりの対面での開催となった岡田先生のアートセミナーには、雨天にも関わらず定員近い受講者が集いました。カラー写真をふんだんに見せていただきながらのご講義に「実物を見たくなりました」「次回の申し込みもして帰ります」などのお声も聞こえました。
第2回は、ルネサンスの巨匠の一人、ラファエッロがヴァティカーノ(バチカン)宮殿の「署名の間」に描いたフレスコ画を取り上げて、ご講義いただきました。16世紀の初頭に教皇ユリウス2世が制作を委託した、教皇の居室群のひとつです。
プラトンとアリストテレスが中央に描かれた「アテナイの学堂」が特に有名なこの部屋には、4方の壁と天井の5面を使って「哲学」「神学」「法学」「詩学」の4つをテーマに、壮大な物語絵が描かれています。
同じ時期にミケランジェロが天井画を描いたシスティーナ礼拝堂には、「最後の審判」に代表される当時のキリスト教の世界観が描かれているのに対し、この「署名の間」は、歴史上の人物や古代の神々など、多くの異教徒の姿が描かれています。ルネサンスの思想、とりわけ新プラトン主義が目指した〈古代哲学とキリスト教神学の調和〉が、教皇の執務のよりどころとして描かれているとのご説明でした。