アートセミナー錦田氏報告(第5回)

当初10月6日(金)に予定されていた第5回は、講師のご都合により11月17日(金)に
代替開催となりました。

『須磨』では、父・桐壺院が亡くなり政敵からの圧迫が強くなる中、
さらに右大臣の娘・朧月夜との仲が発覚します。追い詰められた光源氏は、自ら都を離れ須磨に退去。畿内西端での男所帯の侘び住まいで、光源氏も男性従者も望郷の思いを募らせます。

『明石』では、連日の荒れ模様の中、嵐が鎮まるよう住吉の神に祈りますが、落雷で邸が火事に見舞われます。<嵐が収まりまどろむ光源氏の夢枕に桐壺院が現れ、須磨を離れ都に戻るよう告げます。翌朝、夢のお告げと言って小舟で迎えに来た明石入道に導かれ、明石に移ります。
(その後、光源氏は入道の娘・明石の方と結ばれ姫君を授かり、帰京後は順調に昇進し、雅やかな栄華の時代を迎えるのです。)

都での若き日は、母性を追い続けるも満たされず、女性たちの間で過ごした優美で不確かな青年期であり、須磨での男所帯の侘び住まいは、後の成熟した壮年期を迎えるための転換期として重要な意味を持つと言えるでしょう、とのお話でした。

受講生全員による音読は、コロナ下では控えていましたが、今回久しぶりに行うことができました。受講生からは、「もう一度教科書を復習してみます」「身近な場所が舞台なので、興味深かった」「先生の朗読は流れるようで分かりやすかった」などの声が寄せられました。