2024アートセミナー「名作への旅」報告 講師 大阪大学文学研究科教授 神戸女学院大学文学部非常勤講師 岡田 裕成氏 《第1回》ミラノにレオナルドの大作《最後の晩餐》を訪ねる

レオナルドの《最後の晩餐》を中心に、ミケランジェロやラファエロも活躍した「盛期ルネサンス」(1490年代半ば~1520年頃)について講義いただきました。
フィレンツェで生まれたレオナルドは、故郷の画家の元で修行を始めましたが、絵画だけではなく、自然科学、工学、解剖学など様々な分野、特に水や空気などの流体に深く興味をいだいたそうです。やがてミラノ領主の保護を得て数々の作品に取り組みました。その一つが、1495年頃に修道院の食堂に描いた《最後の晩餐》です。透視図法、左右対象、三角形の構図を用いて、ルネサンス芸術の理想を実現したものの一つとされているとのお話でした。

レオナルドのもう一つの代表作《モナリザ》は、スフマート技法を繊細で優美に完成させたものだそうです。透明度の高い絵の具の層を塗り重ねて、色彩のわずかな変化を描く技法で、あいまいな表情の移ろいを表現することが可能となりました。その結果「謎めいた笑み」を生み出しているそうです。

参加者からは「誰でもが知っている芸術家、作品についての岡田先生の解説がとても楽しかった」「先生のおかげで、名画が私の中で本当に価値ある作品となった」などの感想が聞かれました。