2024キリスト教セミナー報告

「愛神愛隣」が学院の永久標語として制定された時期は不明ですが、
早くから女学院生に浸透していたと思われるエピソードが紹介されました。
そして、「愛神」と「愛隣」の起源、2つの言葉はどのように結びつけられたのか、
旧約聖書から解説して頂きました。

1.申命記における「愛神」の起源
  申命記に初めて「神を愛する」と記されています。当時はアッシリアの支配からの
解放と自由への喜びの言葉でした。しかし、律法を中心とする応報思想と神殿を中心
とする宗教体制により、次第に神殿への服従という人々を縛る言葉に変質していきました。

2.詩篇における「愛神」の表現
  詩篇は古代エルサレム神殿の賛歌集で、150の宗教詩歌が詠われ、下級祭司であるレビ人が管理をしていました。ここでの「愛神」はいずれも神殿の教義を支えるものとして使われました。

3.旧約聖書に見る「愛神」と「愛隣」の関係
  詩篇120篇から134篇は死海写本(紀元前2世紀)にほぼ現在の形で収録されており、
都に上る歌(マァロート詩集)は巡礼者が感動を詠い込んだもので、エルサレム巡礼
の指南書でした。
  122:1~7は祭司の言葉ですが、122:8で突然、神殿に無関係な人のために祈り、
125、128でも神殿に来れなかった人のための祈りを滑り込ませています。
ここに、「愛神」の中に蒔かれた「愛隣」の萌芽を見ます。